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コラム

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「データ活用が進まない」企業に共通する5つの罠——失敗事例から学ぶ処方箋

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「データ活用が進まない」企業に共通する5つの罠——失敗事例から学ぶ処方箋

【この記事の要約】

  • データ活用が進まない企業には、目的の不在・データ品質の低さ・組織の壁という共通の症状があります。
  • Gartnerが2026年1月に発表した調査では、データ活用で全社的に十分な成果を得ている日本企業はわずか2.4%にとどまります。
  • 本記事では、よくある失敗パターンを分解し、明日から着手できる具体的な処方箋を解説します。

⏱ 読了目安:約8分

1. 「データ活用が進まない」とはどのような状態か

まず「データ活用が進まない」を一意に定義します。本記事では、データを収集・蓄積する仕組みは存在するものの、そのデータが意思決定や業務改善に反映されず、投資に見合った成果を生み出せていない状態を指すこととします。

この状態は一部の企業だけの話ではありません。ガートナージャパンが2026年1月に発表した日本企業のデータ活用に関する調査結果によれば、「全社的に十分な成果を得ている」と回答した割合はわずか2.4%にとどまりました。一方で、何らかの成果を得ている回答者は7割近くに達しており、「着手はしているが、全社的な成果には至っていない」企業が大多数を占めていることがわかります。

また、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が2026年1月に実施した「企業IT利活用動向調査2026」でも、「データがサイロ化しDXに向けた活用が十分にできていない」との回答が2025年調査の22.6%から25.5%へ上昇しており、データ基盤の整備が現場の期待に追いついていない実態が浮き彫りになっています。

経営会議の直前、営業部門と管理部門が提出した同じ指標の数字が一致せず、まず食い違いの原因確認から会議が始まる——こうした光景に心当たりのある方は少なくないはずです。

2. なぜ多くの企業でデータ活用が停滞するのか——背景にある本質的な課題

データ活用が停滞する背景には、技術課題以上に組織の優先順位づけの誤りがあります。前出の調査では、積極性を損なう理由の上位に「必要なデータが手に入りにくい」「実務での理解・活用が困難」「データの品質・信頼性が低い」が挙げられています。

同調査でバイス プレジデント チームマネージャーの一志達也氏は「現場の従業員が本来の業務と両立しながら専門的なデータ活用を実践することは容易ではありません」とし、「テクノロジやツールの導入が先行し、人的資本への投資が後回しとなる傾向が強く見られます」と指摘しています。

つまり多くの企業は「データ活用=ツール導入」と捉え、体制・人材の整備を後回しにする傾向があるのです。まず自問すべきは「自社のデータ活用は目的が具体的か、単に『使えるようにする』こと自体が目的化していないか」という点です。次に確認したいのは「ツール導入予算と同じだけ、人材育成や部門間の協働体制づくりに予算を割いているか」という点です。

「まずツールから」で失敗しないために、目的に合ったツール選びの観点はBIツールの選び方で整理しています。

3. データ活用が進まない企業に共通する5つの症状

データ活用が進まない企業には、業種を問わず共通する「あるある」の症状があります。以下の表で確認してみてください。

症状 具体的な光景(あるある) 発生している損失
指標定義のズレ 「アクティブユーザー」の定義が部門ごとに異なり、レポートの数字が一致しない 確認作業に会議前後で毎回半日近くを費やす
属人化 特定の1人しか更新できず、その担当者が休むと数字が止まる 担当者不在時は判断材料が数日単位で滞る
データのサイロ化 半年前のデータがどこにあるかわからず、探すだけで丸1日を費やす 分析着手が遅れ、意思決定が後手に回る
目的の不在 作ったダッシュボードを誰も見ておらず、月次閲覧数がほぼゼロ 開発・保守コストだけが継続的に発生し続ける
現場のスキルギャップ 現場にデータを渡しても、どう解釈・判断すればよいかわからず放置される 業務改善に活かされず、活用への期待感自体が失われる

これらは独立して起きているのではなく、目的の不在が指標定義のズレやスキルギャップを生み、サイロ化を助長する負のスパイラルとして連鎖している点に注意が必要です。

4. 典型的な失敗パターンとその代償

ここでは、業種を一般化した形で、よくある失敗パターンを3つ紹介します。

例えば、製造業において、生産ラインのセンサーデータを分析目的を定めないまま「まずは貯める」ことを優先した結果、数年分のデータが未整理のまま眠ってしまうケースです。品質改善に使いたい部門が後から着手しようとしても、目的に合ったデータを探すだけで数週間を要し、その間、不良率改善は進まず機会損失が積み上がります。

例えば、小売業において、経営会議向けのKPIダッシュボードを情報システム部門主導で構築し、現場の店舗マネージャーの意見を反映しないまま仕様を固めてしまうケースです。マネージャーが「自分の店の実態を映した数字ではない」と感じて利用が定着せず、結局は従来のExcel集計に戻ってしまう。開発・保守コストは継続的に発生する一方、意思決定のスピードは向上しません。

例えば、金融業において、ガバナンス体制を整備しないままAI活用の実証実験を先行させた結果、顧客データの利用範囲が不明確になり、法務部門から利用停止を求められプロジェクトが数か月間止まるケースです。失われるのは時間だけでなく、検証コストや現場の活用機運そのものです。

5. 処方箋:明日から着手できる実践ステップ

ここまでを踏まえ、明日から着手できる実践ステップを整理します。ポイントは、全社基盤の整備から始めるのではなく、小さく検証しながら段階的に広げることです。

ステップ 具体的な行動 自問すべきこと
1. 現状の可視化 自社内のデータ利用実態(誰が何のためにどのデータを使うか)を1枚の表に洗い出す このデータは誰の、どんな意思決定に使われているか
2. 目的の絞り込み 全社一斉導入を狙わず、インパクトの大きい1つの業務課題に絞り効果を検証する この取り組みで、誰の、どんな判断が変わるのか
3. 体制の整備 専門人材の配置と、ユーザー部門との協働体制を明文化する ツール導入予算と同じだけ、人材育成に予算を割いているか
4. 品質の担保 主要指標の定義を部門横断で統一し、参照できる形でドキュメント化する 同じ指標を、違う部門が違う定義で使っていないか
5. 成果の可視化 業務コストや意思決定速度など、効果を測る指標をあらかじめ決めておく この施策の成果を、何をもって「成功」と判断するか

特に重要なのはステップ1です。実態を可視化しないまま次に進んでも、結局は同じ壁にぶつかります。まずはこの棚卸しから着手することをお勧めします。

6. 処方箋を実践した先にある活用イメージ

処方箋を実践すると現場はどう変わるのでしょうか。例えば卸売業において、需要予測の指標定義を営業・在庫管理・経営企画の3部門で統一した結果、欠品率が改善し、経営会議の議論が「数字のすり合わせ」から「次の打ち手の検討」へと変化した、という声も聞かれます。

また例えばサービス業において、1つの店舗・1つの指標に絞って検証し、成果を確認してから範囲を広げる段階的アプローチにより、現場の納得感を得ながら定着させたケースもあります。小さな成功体験の積み重ねが定着への近道になることがうかがえます。

まとめ

本記事で見てきたように、データ活用が進まない企業に共通するのは、技術的な制約そのものよりも、目的設定・組織体制・データ品質という基本に立ち返ることの難しさです。投資を続けているのに成果が出ないと感じる場合は、一度立ち止まり、自社が5つの症状のどれに当てはまるか確認してみてください。

まずは自社内のデータ利用実態を1枚の表に洗い出すことから始めてみてはいかがでしょうか。そこから見えてくる小さな課題の一つひとつが、データ活用を前進させる出発点になります。

【本記事のまとめ】

  • データ活用が進まない根本原因は技術ではなく、目的設定・組織体制・データ品質にある
  • 全社一斉展開より、まず1つの業務課題に絞った検証から着手する方が定着への近道になる
  • 明日から着手できる最初の一歩は「自社データ利用実態の棚卸し」

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7. よくある質問

Q. データ活用が進まない企業に共通する最大の原因は何ですか?
A. 単一の原因ではなく、目的の不明確さ、データ品質の低さ、部門間の連携不足が複合的に絡み合っていることが多いです。Gartnerの2026年調査でも、消極性の理由として「必要なデータの入手困難」「実務での理解・活用の困難さ」「データ品質・信頼性の低さ」が上位に挙げられています。
Q. 全社的なデータ活用基盤を整備してから始めるべきですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。全社基盤の整備を待つよりも、まず1つの業務課題に絞って小さく検証し、成果を確認しながら段階的に範囲を広げる方が、失敗のリスクを抑えつつ成果を実感しやすくなります。
Q. データ活用の取り組みを社内に定着させるにはどうすればよいですか?
A. ツールへの投資だけでなく、データ活用を担う人材の育成とユーザー部門との協働体制づくりに継続的に投資することが重要です。成果を測る指標をあらかじめ決め、定期的に可視化することも定着の鍵となります。
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