1. 主要ページへ移動
  2. メニューへ移動
  3. ページ下へ移動

コラム

記事公開日

【2026年後半】生成AI時代に経営者が押さえるべきデータ戦略の論点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2026年後半】生成AI時代に経営者が押さえるべきデータ戦略の論点

【この記事の要約】

  • 2026年後半の経営課題は、生成AIの導入ではなく、AIが使えるデータの土台づくりです。
  • IPA「DX動向2026」では、生成AIを「導入している」企業は44.0%に増えましたが、学習用データを整備してAIに活用している企業は7.0%にとどまります。
  • 経営者はデータの範囲・定義・ルール・責任者・効果指標の5点を決め、重要業務から着手します。

⏱ 読了目安:約7分

1. 2026年後半にデータ戦略で問われていること

結論から言えば、2026年後半の経営課題は「生成AIを入れるか」ではなく、AIが使えるデータを、全社の資産として整えているかです。AIツールの導入は多くの企業で進みました。差がつくのは、その先にあるデータの範囲と品質、利用ルール、人材・体制、そして効果の測り方(投資判断)です。

データ戦略とは、事業目標の達成に向けて、どのデータを、誰が、どの水準で整え、何の意思決定に使うかを定めた方針のことです。本稿は経営層向けに、直近の公的調査をもとに押さえるべき論点を整理します。

2. 生成AIは広がったが、利用の中心は個人での業務利用

結論:導入率は上がったものの、利用の中心は個人での業務利用で、業務プロセスへの組み込みは一部にとどまります。

情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2026」(2026年7月30日公開、日本企業1,799社の回答)によると、生成AIを「導入している」企業は2024年度の22.6%から2025年度の44.0%に増えました。一方、利用形態を尋ねた設問(生成AIを「導入」「試験利用」「検討中」のいずれかと答えた企業が対象、複数回答)では、「個人で業務利用している」が63.3%と最も多く、「部署の業務プロセスに組み込まれている」は11.9%、「全社的なサービスに組み込まれている」は18.6%でした(本文PDF3.2節。最終確認日2026年10月9日)。

さらに同調査(3.5節)でAI利活用に向けた学習用データの整備状況を尋ねると、「整備しておりAIに活用している」は7.0%で、「整備しているが十分ではない」が28.4%、「必要性は認識しているができていない」が27.6%でした。一方、総務省「令和8年版情報通信白書」(2025年度企業向け調査)では、生成AIを「積極的に活用する」または「領域を限定して活用する」方針と答えた日本企業は合計68.9%(前年度49.7%)に増えています。別の調査ですが、併せて読むと、活用方針は広がる一方でデータ整備は途上の企業が多いと考えられます。

想定される場面は、各自がAIに質問して資料を作る一方で、社内の売上定義や顧客マスターが部門ごとに違い、AIの回答が部門によって食い違う、というものです。こうした食い違いは、AIの性能よりも、AIに渡す社内データの定義と品質が揃っていないことに起因する場合が多いと考えられます。

3. 経営者が押さえる5つの論点と最初の一歩

結論:経営者が決めるべきことは5つに絞れます。次の表を、自社の役員会で自問する形で使ってください。

論点 経営者が自問すること 最初の一歩 最低ライン(できない場合)
①AIに使わせるデータの範囲 どの業務の判断にAIを使うのか 重要度の高い業務に絞る 最も重要な業務だけでよい
②データの定義と品質 売上・顧客の定義は全社で1つか 指標の定義書を1枚作る 経営会議で最も使う主要指標のみ
③利用ルール 入力してよい情報の線引きはあるか 禁止事項を1ページにまとめる 既存規程に追記
④人材と体制 誰がデータの責任者か 責任者を指名する 兼任でも可
⑤投資判断 AIの効果を何で測るか 効果指標を決める 工数削減時間のみ

なお、ルール整備の考え方は、当社コラム生成AI活用における社内ガバナンス・利用ポリシーの作り方で、データ基盤の進め方はデータ基盤の内製化ロードマップで詳しく解説しています。

IPAの同調査では、AI活用の課題として「専門人材の不足」が50.1%、「適切な利用ルールの作成が難しい」が39.7%に上ります。人とルールは、データ整備と同時に着手しないと後から詰まる項目です。

4. データ戦略を見直す4つのステップ

結論:全社一斉に整えず、事業上の重要度が高い領域から段階的に進めます。

1.目標を定める
どの意思決定か
▶ 2.データを棚卸し
所在と品質
▶ 3.ルールを決める
利用と責任者
▶ 4.小さく試す
効果を測る
図:データ戦略見直しの4ステップ(経営会議での検討順序の例)

各ステップで決めることと、終了時の成果物は次のとおりです。

  1. 目標を定める:AIで改善したい意思決定を、重要度の高いものに絞って選びます。成果物は対象業務の一覧1枚です。
  2. データを棚卸しする:必要なデータの所在、管理者、品質上の問題を書き出します。成果物は「所在・管理者・課題」の表です。
  3. ルールを決める:入力してよい情報の線引きと責任者(兼任可)を決めます。成果物は禁止事項1ページです。
  4. 小さく試す:対象を絞って試行し、決めておいた効果指標(例:対応工数の削減時間)で測ります。成果物は結果の1枚メモで、範囲拡大の判断材料にします。

最初に自問すべきは「AIで改善したい意思決定は何か」です。次に、その判断に必要なデータが社内のどこにあり、誰が管理しているかを確認します。実務では、棚卸しを全システムで行う余力がないことが少なくありません。その場合は、対象業務で実際に使う表計算ファイルと主要システム2〜3個に絞って構いません。

5. よくある失敗パターンと実際の損失

ツール先行で成果が測れないパターン

想定例として、全社にAIツールを配ったものの、効果指標がなく、半年後の予算審議で「何が良くなったのか」に答えられないケースです。企画部門が利用ログを手作業で集計することになり、本来の改善活動に手が回らなくなります。

データの定義が揃わないままAIに任せるパターン

想定例として、部門ごとに「売上」の定義が違うまま、AIに集計や要約を任せるケースです。経営会議の冒頭で数字の食い違いの確認から始まり、意思決定が先送りになりがちです。AIの回答を人が検算し直す手間も残るため、期待した工数削減は小さくなります。

6. 活用イメージ:製造業とBtoBサービス業の場合

例えば(想定例)、ある製造業では、品質不良の問い合わせ対応をAIで支援したい場合、まず不良の分類コードを現場と品質保証で統一することが先決です。コードが揃えば、過去の対応履歴をAIが参照でき、回答案の精度が上がります。

またBtoBサービス業では、営業日報の記載項目がバラバラだと、AIによる提案支援は機能しません。まず商談の「課題・予算・時期」の3項目だけでも入力欄を揃えるところから始めます。AIの高度化を先に考えるより、入力項目を揃えるという地味な整備のほうが、着手しやすく、効果も確かめやすい傾向があります。自律的に動くAIの可能性は、当社コラムAIエージェントは業務をどう変えるかも参考になります。

7. まとめ:最初の一歩は「AIに使わせたいデータ」の棚卸し

生成AIの導入が進んだ今、経営者の役割は、AIが力を発揮できるデータの土台と、利用ルール、責任者を決めることです。まずは今週中に、AIで改善したい重要業務を絞って挙げ、その業務で使うデータの所在と管理者を1枚の表にまとめるよう、DX推進部門や情シスなどの担当者に指示してください。中期経営計画に落とし込む際は、中期経営計画にデータ戦略を組み込む方法も活用できます。

【本記事のまとめ】

  • 生成AIの導入率は上がったが、部門・全社の業務に組み込めている企業は少数で、データ整備が追いついていない
  • 経営者が決めるべきは、データの範囲・定義と品質・利用ルール・責任者・効果指標の5点
  • 全社一斉ではなく、重要業務1〜3つから棚卸しを始め、できない場合の最低ラインから着手する

データ戦略の見直しやAI活用に向けたデータ整備でお悩みの方は、株式会社コネクトデータのデータ活用コンサルティングで、現状整理から進め方の設計までご相談いただけます。

お問い合わせはこちら/資料ダウンロードはこちら

8. よくある質問

Q. データ戦略とは何ですか? 中期経営計画とは別に作る必要がありますか?
A. データ戦略は、事業目標の達成のために、どのデータを誰がどの水準で整え、何の意思決定に使うかを定める方針です。別冊にせず、中期経営計画の施策やKPIに組み込むと、予算と責任者が決まりやすくなります。
Q. 生成AIを導入済みですが、成果が見えません。何から見直すべきですか?
A. まず効果指標(例:対象業務の工数削減時間)を決め、AIが参照するデータの定義が部門間で揃っているかを確認してください。個人利用にとどまっているなら、対象業務を絞り、業務プロセスへの組み込みを試すのが現実的です。
Q. データ整備にかけられる人手や予算が限られています。どう進めればよいですか?
A. 全社一斉ではなく、AIで改善したい業務に絞り、そこで使う主要データの定義書を1枚作るところから始めてください。責任者は兼任でも構いません。小さな成果を示してから範囲を広げます。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

データ活用に関してまずはご相談ください

データ活用に関するご相談、データコネクトの概要資料ダウンロードに関しては、以下のボタンより承ります。