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コラム

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中期経営計画にデータ戦略を組み込む方法|「別冊」にしない4ステップ

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中期経営計画にデータ戦略を組み込む方法|「別冊」にしない4ステップ

【この記事の要約】

  • データ戦略が中計から浮くのは、導入物が目標になり、経営指標や責任者と結びついていないことが主な理由と考えられます。
  • 経営課題の絞り込み、意思決定とデータの特定、年度別の打ち手、KPIと責任者の4ステップで組み込みます。
  • 最低ラインは、重点テーマ1つについて課題・責任者・KPI・初年度の打ち手を1ページにまとめ、経営会議で承認を得ることです。

⏱ 読了目安:約7分

1. データ戦略が中期経営計画から浮いてしまう理由

データ戦略とは、事業戦略を実行するために、どのデータを、誰が、何の意思決定に使えるようにするかを定めた方針と計画のことです。中期経営計画(以下、中計)にこれを組み込むとは、データの取り組みを独立した施策ではなく、売上・利益・顧客・人材といった経営目標を達成する手段として計画書に位置づけることを指します。

ところが、中計の本編には「DXの推進」「データ活用の高度化」と一行あるだけで、詳細はIT部門が作った別冊資料に書かれている、というケースが見られます。こうなると、経営会議では部門ごとの数字の定義が食い違い、確認から議論が始まることがあります。年度予算の査定でも、データ基盤への投資は「効果が見えにくい」として削られやすくなります。データ戦略が経営の言葉で語られていないことが、この状況を招く主な要因の一つと考えられます。

IPA「DX動向2026」(回答1,799社、2026年4〜6月調査)では、AI導入の効果として「業務が効率化したり迅速化した」を挙げた割合が91.6%だった一方、「売上や利益が向上した」は3.9%にとどまりました。同調査ではDX推進人材の「量」が「やや不足」「大幅に不足」との回答が合計85.5%にのぼり、データマネジメントの知見を持つ人材の不足も高い水準が続いています(IPA「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイントを公開」2026年7月16日)。効率化の効果は出やすくても、売上・利益といった経営成果につなげるには、目標と体制を計画の段階から設計しておく必要がある、というのが当社の見立てです。

2. 「別冊型」と「組み込み型」の違い

まず自問したいのは、「自社のデータ戦略は、中計の数値目標と直接つながっているか」です。つながっていなければ、別冊型になっている可能性があります。

観点 別冊型 組み込み型
目標の置き方 「データ基盤の構築」「ダッシュボードの整備」など、導入物が目標 「解約率を2ポイント下げる」「在庫日数を短縮する」など、経営指標が目標
投資の位置づけ IT部門の予算として個別に承認を取る形になりがち 事業部門の目標達成に必要な投資として、中計の投資計画に含めることを目指す
責任者 情シスやDX推進部が単独で担う形になりがち 経営層が責任者となり、事業部門長が成果に責任を持つ
見直しのタイミング システムの稼働時点でひと区切りとなる 中計の進捗レビューで、経営指標とあわせて毎期見直す

組み込み型の要点は、データの取り組みを「何を作るか」ではなく「何の経営課題を解くか」で定義することです。経営課題から逆算して必要なデータを決める順序にすると、投資の是非を経営会議の言葉で議論しやすくなります。

3. 中期経営計画に組み込む4ステップ

策定の実務は、次の4ステップで進められます。中計の策定作業と並行して進める前提です。

ステップ やること 具体的な作業
1 中計の経営課題を3つ以内に絞る 中計の重点テーマを並べ、データで解決できる課題(顧客離反、在庫、採算把握など)を選ぶ。全部を対象にしない
2 課題ごとに必要なデータと意思決定を特定する 「誰が、どの会議で、何を決めるのか」を書き、必要なデータ、現在の所在、品質状態を表に洗い出す
3 打ち手と投資を年度別に置く 基盤・人材・ルールの三つを年度ごとに割り振り、初年度は既存データで着手できる範囲にとどめる
4 KPIと責任者を決め、レビューに組み込む 経営指標のKPIを事業部門長に紐づけ、四半期の経営会議で進捗を確認する

ステップ2で次に確認したいのは、「その意思決定は、今どんな資料で行っているか」です。例えば、月次の営業会議で解約の兆候を議論しているのに、判断材料が担当者の感覚と手作業の集計に限られている。こうした場面が見つかれば、そこがデータ戦略の出発点の候補になります。最初の一歩としては、重点課題1つについて、意思決定の場面と使っているデータを1枚の表に書き出してみてください。

4. 計画書に必ず書き込みたい4つの要素

中計の資料に載せる際は、次の4点が揃っているかを確認します。1つでも欠けると、経営会議で「結局いつ、いくら、誰が」という質問に答えにくくなります。

  • ロードマップ:年度ごとに何が使えるようになるかを、業務の言葉で書きます。
  • KPI:データ基盤の稼働率ではなく、経営指標への効果を置きます。先行指標(利用部署数、意思決定への活用件数など)を併記すると、途中経過も追えます。
  • 投資と回収の見通し:費用と、削減時間や売上寄与の見込みを、前提条件とあわせて示します。
  • 体制:責任者、事業部門との役割分担、人材の育成計画を記載します。

投資効果は、見積もりの不確かさが大きいほど、単一の数字ではなく「範囲」と前提で示すほうが、経営層の理解を得やすくなります。確度の高い効果と推定の効果を分けて書くことをおすすめします。

5. よくある失敗パターン

第一は、導入物を目標にしてしまうケースです。「データ基盤を構築した」時点で達成扱いとなり、事業部門は使い方が分からないまま放置されがちです。結果として、多額の投資をしても、経営会議の資料は従来どおり手作業で作られ続けるおそれがあります。

第二は、全社課題を一度に扱おうとするケースです。重点課題を絞らずに10項目を並べると、どれも中途半端に終わりやすくなります。担当者は複数のプロジェクトを掛け持ちして疲弊し、3年後の見直し時に「成果が見えない」と判断されて予算が縮小される、といった流れになることがあります。

第三は、データ整備の時間を織り込まないケースです。データの定義統一や品質改善は、1年目に成果が見えにくい地味な作業です。経営層が初年度の成果を期待しすぎると、整備を省いて表面的なダッシュボードだけが増え、数字の食い違いが解消しないまま残るおそれがあります。

6. どこまでやれば十分か

ここまでの手順は、中計の策定に十分な時間がある場合の理想形です。実務では、すでに中計が決まっていて、来期から見直す余地が限られることがあります。その場合、当社では最低ラインを次のように考えます。中計の重点テーマのうち1つだけを選び、データで解く課題、責任者、KPI、初年度の打ち手を1ページにまとめて経営会議で承認を得ることとします。ただし、自社の決裁プロセスや中計の改定時期により、進め方は異なります。

KPIの数値化が難しければ、まずは作業時間や手戻り回数といった測りやすい指標で構いません。進め方の関連事項はコネクトデータのコラムでも取り上げています。

7. まとめ

データ戦略を中計に組み込む鍵は、導入物ではなく、解決する経営課題からデータの取り組みを定義することです。今日からの一歩は、中計の重点テーマを3つ以内に絞り、それぞれの意思決定の場面と使っているデータを1枚の表に洗い出すことです。

【本記事のまとめ】

  • 別冊型ではなく、経営指標に紐づく組み込み型でデータ戦略を定義する
  • 経営課題の絞り込み、必要な意思決定とデータの特定、年度別の打ち手、KPIと責任者の4ステップで進める
  • 最低ラインは、重点テーマ1つについて課題・責任者・KPI・初年度の打ち手を1ページにまとめ、経営会議で承認を得ること

中計へのデータ戦略の組み込みには、経営課題の整理と実行計画の設計が要点です。株式会社コネクトデータは、データ活用の現状整理から戦略策定、内製化まで一気通貫で伴走します。データ活用コンサルティングにて、進め方を無料でご相談いただけます。

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8. よくある質問

Q. 中期経営計画がすでに決まっている場合、データ戦略は追加できますか。
A. 多くの場合は可能です(自社の決裁プロセスによります)。既存の重点テーマのうち1つを選び、課題・責任者・KPI・初年度の打ち手を1ページにまとめて、年度の見直しや予算編成のタイミングで提案してください。
Q. データ戦略のKPIは何を置けばよいですか。
A. システムの稼働状況ではなく、解約率や在庫日数などの経営指標を置くことが望ましいと考えます。あわせて利用部署数や意思決定への活用件数などの先行指標を置くと、途中経過も確認できます。
Q. データ戦略の責任者は誰が担うべきですか。
A. 事業成果に責任を持つ経営層または事業部門長が責任者となり、情シスやDX推進部は実行を支援する役割とする形が望ましいです。担当を情シスだけに置くと、別冊型になりやすくなります。
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